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2012-03-25 23:03
歯の写真2

「歯の写真を撮る」。前回に引き続き今回はカメラの設定についてご紹介します。

「光を制する者はカメラを制する」なんて今思いつきましたが、本当にいい写真を撮るということは、光をコントロールすることに尽きるとおもいます。

そこでカメラの露出を決める基本として設定するのが「絞り」と「シャッタースピード」。
おそらく一眼レフカメラを使用したことがない方や、使っていてもオート撮影しか使っていない方はちょっと、とつきにくいかとおもいますが特に歯の写真を撮る上ではとても重要になってきます。

基本的に歯の近接撮影は「マニュアルモード」・「マニュアルフォーカス」でおこないます。
っとうわけでマニュアルモードの「M」に設定。
僕が使用しているNIKON D300Sではシャッタースピード 1/125、絞り値 32に設定しています。

この値はカメラ、レンズ、ストロボによって変える必要があり、そのためにもカメラの基本的な仕組みを理解しなくてはいけません。

簡単に説明するとレンズを通って撮像素子上に写る像の明るさをコントロールするのが「絞り」と「シャッタースピード」になります。
絞り値を小さくする(絞りが開かれる)と入ってくる光の量が多くなります。逆に絞り値を大きくする(絞りが絞られる)と入ってくる光の量は少なくなります。そこでシャッタースピードを変えることにより、光に量をコントロールするこができます。
例えば、絞り値が小さい場合入ってくる光の量が多いのでシャッタースピードは速く設定すると適正な露出を得ることができます。逆に絞り値が大きい場合入ってくる光の量が少ないためシャッタースピードは遅くする必要があります。

ここまで理解できたかなー?
さらにここから考えなくてはいけないのが、被写界深度とブレです。

被写界深度とは、ピントを合わせた部分の前後のピントが合っているように見える範囲のことです。
被写界深度は絞り値、レンズの焦点距離、撮影距離(被写体とカメラの間の距離)で決まります。
レンズの絞り値が小さくなるほど、被写界深度は浅くなり。(歯の撮影では手前だけにピントがあっていて奥のほうがボケている状態)、大きくなるほど被写界深度は深くなります(歯の撮影では手前の歯と奥の歯にピントが合う状態)。
歯の撮影をする場合、正面から撮影をするのですが歯の列は手前から奥にかけて湾曲しています。ですから手前の歯と奥の歯をしっかり撮影するためには被写界深度はある程度深い必要があります。
っということは「絞り値」は大きくなるため、シャッタースピードは遅くなります。

「シャッタースピード」が遅くなるというのは光が入ってくる時間が長くなるということですが、遅いということはそれだけブレやすいということになります。被写体がまったく動かない物で、三脚などが使える条件であればいいのですが歯の撮影の場合はそういうわけにはいきませんよね。
最近のカメラは「手振れ補正」の機能がありますがマニュアルで撮影する場合は通常使用しません。
僕のカメラの設定ではシャッタースピード 1/125に設定していますが、これぐらいならしっかり固定してブレづに撮影することができます。
「絞り」・「シャッタースピード」のまとめですが、歯の写真を撮るということに関して言いますと「手前の歯と奥の歯がボケないでしかっり写り、なおかつブレない範囲で光が入るように設定する」ということです。
っというわけで、歯を撮影するための適正な「絞り値」・「シャッタースピード」の目安として、シャッタースピード 1/125、絞り値 32を参考にしてください。

パネル

「よーっし、これで歯の写真をバシバシ撮るぞー!」といいたいところですが、まだまだ設定が必要です。

次に考えるのがISO感度。
なんとなく聞いたことはあるとおもいますが、ISO感度とはデジタルカメラが光をとらえる能力を表す値です。
デジタルカメラは、撮像素子に当たった光を電気信号に変えて処理します。
ISO感度を上げることは、電気信号を増幅することです。ISO感度を2倍にすると電気信号は2倍になります
最近のカメラは感度がとてもよくなっています。
すなわち暗いところで撮影しても感度を上げることにより、明るい写真となります。
ただし、感度を上げすぎると画像が荒くなってしまうためほどほどにしなければいけません。
僕の設定では320に設定しています。

ISO.jpg

ISO320.jpg

続いて今度はストロボの設定です。
近接撮影の場合、どうしても被写体に近寄って撮影するために暗くなってしまいます。
そのために専用のフラッシュが必要になります。
メーカー、機種により設定は様々ですが、ニコンスピードライトの場合1/32に設定しています。

ストロボ裏

これでようやく「歯の写真を撮る」準備が整いました。
ここまでちゃんと理解して撮影すれば、そこそこいい写真が撮れるとおもいます。
そこで「カシャッ」と撮影。
「うーん、キレイに撮れているんだけど、ちょっと実際と色が違うようなー」。
そうなんです。「歯の写真を撮る」上でとても重要なのが、この色味なんです。
理想的には、目で見たままの歯の色が写真に再現されていて、なおかつモニター上でも同じ色で見れることです。

そこでその理想的な色に近づけるために行うのがホワイトバランスの設定です。
ホワイトバランスとは、被写体に当たる光の種類に応じて変わる色味を調整して、白いものを白に近い色に仕上げる機能です。
被写体には太陽光や電球の光、蛍光灯の光などさまざまな種類の光が当たります。肉眼ではどの光も同じように無色透明に感じますが、実は光の種類によって色が着いています。
デジタルカメラの撮像素子はこの光の色の違いをそのまま出力するため、このままでは光の種類によって写真全体に色が着いてしまいます。

下の写真は設定されたホワイトバランスでそれぞれ撮影したものですが、同じ歯でも全く色が変わってしまいます。
そのため光の色に左右されず、よりそのままの色に近い色を再現するためにその撮影環境に合わせたホワイトバランスを設定する必要があります。
ここではNIKONを用いた場合のホワイトバランスの設定を紹介します。

ホワイトバランスall

撮影メニューからホワイトバランスを選択。

ホワイトバランス

プリセットマニュアルを選択。

ホワイトバランス・プリセッ

カメラのホワイトバランスの設定でプリセットマニュアルを選択します。
ここで、準備するのが18%のグレーカード。
このグレーカードを撮影してプリセットマニュアルに記憶させます。

ここで重要なのが、実際に歯の撮影をする場所で設定することが大切です。室内環境も朝・昼・晩で太陽光の入り方が変わるので、できれば遮光できる環境がいいでしょう。

グレーカード

ここに18%グレーカードを撮影した画像が表示されます。

ホワイトバランス・グレー

そしてプリセットマニュアルで設定したホワイトバランスで撮影した歯の写真です。
なんとなく他のホワイトバランスで撮影したものと色の違いがわかるでしょうか。
実際の見た目と近い状態で撮影されています。
(見るモニターによっても見た目は変わります。)

プリセット

どうでしょう。ここまでやると大きくズレのない歯の色を表現した写真を撮ることができます。
ちょっと長くなりましたが、うまく説明できたでしょうか?

では次回は撮影した画像の取り扱いについてご紹介したいとおもいます。
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2012-03-03 22:52
歯の写真1

「歯の写真を撮る」シリーズ第一弾!
なんかタイトルはすごいですが今回ちょっとカメラを変えたので、まとめてみました。
歯科医にとって歯の写真を撮るということはとても大切なことで、一般の患者さんにはそのこだわり、若手の歯科医にはこれからのカメラ選びの参考にでもなればいいかなと思っています。

まず写真を撮る目的は二つあります。

一つは「記録用」の写真です。いらしていただいた方の現状を記録するために写真をとります。
そして治療が終了した後も写真を撮らせていただいて、治療前と治療後の状態を確認します。

二つ目は「歯の色を作る」ための写真です。
これはセラミックで歯を作る場合にご自身の歯と同じ色・質感を再現するために治療する歯の隣や反対側の歯の写真を撮ります。

今回は審美歯科治療をする上で重要な「歯の色を作る」ために必要なカメラの知識を中心に紹介したいとおもいます。

歯の写真を撮影するというのは実はとても特殊な状況になります。
よくカメラの機能の中に接写モードというのがありますが、近くによって花や虫などを撮影するときに使いますね。じゃあ、これで歯の写真がきれいに撮れるかというとそういう訳にはいかず、等倍近くの接写と口の中という暗い状況での撮影には、いろいろそろえなければいけません。
まず一眼レフカメラ本体、接写用のマクロレンズ、専用のフラッシュ(ストロボ)などが必要になってきます。

それでは一つ一つ紹介していきましょう。

一眼レフカメラボディ。
下の写真で紹介しているのがキャンン・5D MarkⅡとニコンD300sです。
歯の写真を撮る上で、このカメラボディ選びが難しいんです。
高いカメラがいいかと言うとそうでない場合もあり、安いカメラではいい写真が撮れない。
カメラメーカーも歯を撮影するためにカメラを作っている訳ではないので、カメラ本体、レンズ、ストロボとの相性で写真の善し悪しが決まってきます。
口の中の写真ということに関しては今のところキャノン・5D MarkⅡは間違いないだろうし今回、僕が使用しているニコン・D300sもかなりいいとおもいます。
で、そこそこいい値段もするわけです。

ボディ
5DMarkⅡの仕様はこちら                     D300sの仕様はこちら

続いてレンズ。
こちらに紹介しているのはキャノン純正の100mmマクロレンズとニコン純正の105mmマクロレンズです。
タムロンやシグマなどレンズメーカーのマクロレンズもありますが、やはり純正のほうが相性いいみたいです。
僕はあえて一昔前のマクロレンズを使用していますが、一度新しい手振れ補正付きのレンズを購入して使ってみたのですがどうも色が合わなく、すぐに売ってしまいまた昔のレンズに戻してしまいました。
ですから僕が使っているレンズはもう廃番ですから買うなら中古市場かオークションでの購入になりますね。
100mmではなく60mmくらいを使っている人も多いとおもいます。

レンズ

最後にストロボ。
これも接写専用のものになります。
いろいろ呼び方はあるみたいですがニコンではマクロスピードライトと言っていますね。
左側はにキャノンの純正ですが両側から光を当てるデュアルフラッシュタイプのものや、丸いリング状のものなどがあります。

ストロボ

そしてこららを組み合わせるとドドーンっと↓な感じになります。
見慣れない一般の方からみたらかなりごっついですよね。
これ、結構重たいんです。多分女性にはしんどいかもしれません。
歯医者さんのすごいところは、このごっついカメラを手で持ちマニュアルフォーカスで口の中の接写撮影するってことです。
おそらく皆さんあまりピンとこないとおもいますが、簡単に言いますと「よくこんな重たいおの持って、ブレないでキレイな写真が撮れるね」ってことです。
通常の一般撮影であればオートフォーカスや手振れ補正などがあり、接写撮影であれば三脚も使用できます。
しかし歯の撮影においてはすべてがマニュアルなので結構熟練の技になってくるんです。

セット

では実際の症例を見ていきましょう。

支台歯

この方は「自分の歯に合った自然な歯を作ってほしい」という要望でした。
そして以前にはいっていたかぶせ物を外して、土台もやりかえセラミックのかぶせ物をつくるために型取りする前の状態です。

試適1

一回目のセラミッククラウンを試した状態です。
ちょっと周りの歯と比較して白くて明るすぎます。

比色

反対側の同じ歯と比べてみました。やはりちょっと明るいですね。
っというわけで技工士さんに色調整をお願いします。

試適2

そして2回目の試み。この写真上ではかなりいいのですが実際は少し黄色みが強すぎる感じです。
っというわけで再調整。

最終

っで、3度目の正直で無事装着できました。ほぼ造り物とは分からない出来栄えです。
ここまで付き合って頂いた患者さんと技工士さんに感謝です。
患者さん的には、おそらく1回目・2回目でほぼ満足していただけたとおもいますが、ここまで詰めていくこだわりというのが僕らの仕事のやりがいでもあり、その達成感が次への仕事へとつながっていきます。

とは言え、できればあまり時間と回数はかけたくたくないものです。
そこでやはり重要になってくるのが「歯の色」の写真になるわけです。

っというわけで次回「歯の写真を撮る その二」では歯をきれいに撮るための各種設定について紹介したいとおもいます。
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