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2010-05-27 22:34
先日に引き続き、サイナスリフトの紹介です。今回のテーマは「○○主導型インプラント」についてお話します。

前回は右側のサイナスリフトを行いましたが今回は同様に左側のサイナスリフトを行いました。
下の写真はプロビジョナルレストレーション(治療用の仮歯)を装着した状態です。
他医院ですでに1本インプラントが埋入されている状態で、黄色の矢印で示しています。
しかし本来、歯をつくるべき位置(赤の矢印)とインプラントの埋入されている位置がずれているのがわかります。
sinus1.jpg

プロビジョナルレストレーションを外した状態です。
インプラントが1本だけ埋入されています。
もともとはインプラントと天然歯(ご自身の歯)が連結された状態でした。
本来、このスペースには3本分の歯が必要になります。
sinus2.jpg

術前のレントゲン写真です。赤の矢印の部分にはインプラントを埋入するための骨がありません。
sinus4.jpg

術後のレントゲン写真です。サイナスリフトにより骨造成をおこないました。
十分な骨の高さを確保することにより、将来的にしっかりしたインプラントを適正な位置に埋入することができます。
sinus3.jpg

少し前ふりが長かったですが、なぜこのようなことになったのでしょうか?
ブローマルクインプラントに始まり、現在に至るまで近代インプラント治療の歴史にはいくつかの変遷がありました。

インプラント治療を行う上で最も大切なのが、診査・診断・治療計画です。
その中で、歯医者さんを悩ませるのがインプラントを埋入するのに必要な骨があるかないかということです。
インプラントの治療計画を立てる上で、当初は「外科主導型」という考えのもとで治療が行われていました。
どういうことかというと、もともと骨がある位置になんとかインプラントを埋入しようというものです。

そのためインプラントは入ったものの、最終的な上部構造(補綴物・義歯)が形態が悪かったり、手入れがしにくいものだったりすることがありました。

その後、提唱された考え方が「補綴主導型」というものです。
これは、インプラントを埋入する位置を骨の位置から考えるのではなく、最終的な上部構造(補綴・義歯)の位置・形から考えていこうというものです。もし骨がなかったら骨をつくり、その部位にインプラントを埋入しようというものです。
この考えのもと、再生療法の発展も伴いインプラント治療はより機能的・審美的なものとなり患者・術者ともに満足度の高い治療となりました。
そして術者はより繊細で高いレベルの技量が必要となってきました。

そして最近提唱されているのが「患者主導型」というものです。
この考えは、インプラント治療をおこなう上でより患者さんの立場に立って治療計画を立案しようというものです。
「痛くない」、「より早く」、「より簡単に」など・・・。
現在はCTやコンピュータの進歩により、術前に骨の形態をより正確に把握することができるようになりました。
そのデータをもとに、シミュレーションソフトで診査・診断を行いインプラントを埋入するナビゲーションガイドも作製することができます。
最近よくおこなわれているオールオン4(4本のインプラントで義歯を支える手法)などは、ガイドシステムが利用されています。
また、症例によっては抜歯即時埋入法(歯の抜歯と同時にインプラントを埋入する手法)も治療期間が短縮され患者さんにとってはメリットのある治療と言えるでしょう。

ちょっと難しいかもしれませんが、なんとなくインプラント治療の変遷が理解できたでしょうか?
ここで、最初の症例に戻りますがこのケースでは骨がある場所にだけインプラントが埋入されており、骨がない部分は奥の歯と連結したブリッジの構造になっていました。
そのため、上部構造(かぶせ物)は不自然な形態になり、手入れもしにくい状態となってしまい壊れてしましました。
これはいわゆる「外科主導型」で行われたインプラント治療です。

このケースを「補綴主導型」で行うなら、骨造成をした上で欠損部の適正な位置に2本ないし3本のインプラントが必要となります。
僕の計画では、サイナスリフトにより骨造成をおこなっているので、埋入してあるインプラントを撤去したあとに3本のインプラントを埋入する予定です。
そうすることにより、本来ある歯の状態を機能的にも審美的にも再現することができます。
患者さんにとっては外科処置の回数が増えたり、治療期間が少し長くなりますが長期的に見ると一番確実な治療方法と言えるでしょう。

ここで考えたいことは、本当に患者さんにとって良い治療方法とはなんなんだろう?
治療を受けるうえで、より早く、痛くなく、きれいに、安く・・・・、などいいことを挙げたらたくさんあるでしょう。しかし本当に大事なことは、より安全により確実により長持ちする治療方法を選択するのが大切ではないでしょうか。
「患者主導型」という考え方はいいのですが、時としてその方法が患者さんにとっていいのではなく、歯科医(術者)にとっていい治療方法になっている場合があります。
本来、骨造成が必要な部位に短いインプラントで対応したり、無理に抜歯即時インプラントをおこなったり、短期的には患者さんにとって楽な治療方法でも将来的な予知性が低い場合があります。

またCTやコンピュータの進歩がこの考えに拍車をかけているのではないでしょうか。
最初にお話したとおり、治療をおこなううえで診断が大切だといいましたがCTやシミュレーションソフトが今のように普及していないころは、2次元的なレントゲン写真や顎模型をもとに診断をおこなっていました。
そのためには、より細かい解剖学の知識をもとに3次元的に顎骨の形態をイメージする診断能力を培わなければなりませんでした。
今ではそれがとても簡単になりました。
CTを撮影して、そのデータをPCにいれるだけで詳細な顎骨の3D画像を得ることができます。

ある先生はこう言います
「これからは匠の技はいらない。CTデータをもとに決まったとおりにやれば、上手に治療ができる」と。

僕は本当にそれでいいのかな?っとおもってしまいます。
身の周りのものでもそうですが、便利になりすぎて本来身につけるべき技術や能力を得ることができなくなってしまっているように感じます。
歯科に関して言うならば、医療機器の進歩とは裏腹に医療技術の低下を招いているのではとおもいます。

簡単に言うと、カーナビなしでは車を運転できなくなってしまうような。

ちょっと極端かもしれませんが、意外と皆さんの身の周りでも同じようなことが起きているのではないでしょうか。

歯科学は科学と技術に基づいた学問です。
技術の研鑽なくして、歯科医療の進歩はありません。

確かにいい道具は大切ですが、歯医者たる者匠の技を磨くべきだと僕は思います!!



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2010-04-22 14:36
今回はインプラント治療のオプション治療としておこなわれるサイナスリフト(上顎洞底挙上術)と静脈内鎮静法についてご説明します。

sinus.jpg

↑の写真、よくわかりにくいかもしれませんがサイナスリフトの術前・術後のレントゲン写真です。
解剖学的に上顎は歯を抜いた場合、歯槽骨の吸収と上顎洞(副鼻腔)の含気化が進みインプラントを埋入するための骨が十分にないことがあります。
その場合、インプラントを埋入部位の上顎洞粘膜を挙上(持ち上げる)して、骨補填材をいれることにより人工的に骨をつくることができます。この手法をサイナスリフトと言います。

この上の症例は他医院においてすでにインプラントが埋入されており、骨がない部位のインプラント治療を希望された方です。このケースではラテラルウィンドウテクニックといって、上顎骨の側壁から窓を開けて骨を補填する手法でおこないました。この手法の最大のメリットは必要な骨量を確実に増やすことができることでしょう。
上のレントゲン写真上で薄白く骨補填材がはいっているのがわかりますでしょうか。
この部位に骨をつくることにより将来的にインプラントを埋入することができます。

他の手法として、インプラント埋入部位から上顎洞粘膜を挙上するオステオトームテクニックがあります。
この手法は手術範囲が狭いので患者さんの負担が少ないのがメリットとしてあげれますが、上顎洞粘膜の挙上量が限られるので症例によっては適用できません。

またこのように時間のかかる手術やインプラントの埋入本数が多い場合に当院でおこなっているのが、静脈内鎮静法というものです。言葉だけ聞くと痛々しいものですが点滴により薬をつかうことにより、手術の最中ほとんど痛みや精神的な不安感を感じることがなく手術をすることができます。
感覚的には「眠っているみたい」な感じです。

当院で静脈内鎮静法によって治療を受けられたかたは皆「気づいたらもう終わってた」・「痛みもなく楽だった」とおっしゃっています。術中は麻酔専門医が立ち会いのもと全身管理もおこないますのでとても安心です。

「骨がないからインプラント治療は無理」、「インプラント治療はこわいからやりたくない」という方がいらしたらご相談ください。
最近は短いインプラントを使う手法やインプラントを傾斜して埋入する手法などがあり骨造成を避けてインプラントをおこなうこともできます。
様々な治療方法によりあなたにあった治療方法がみつかるかもしれません。
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